夢の鬼ぎり

和食

鬼笠子と夢笠子の握り寿司を作った。題して「夢の鬼ぎり」

駿河湾の沖合、ちょうど御前崎と下田をむすぶ線上にあたるのだろうか?石花海という漁場がある。

駿河湾といえば2500mもの水深の場所もある全国最深の海だが、その中でぽつんと浅くなった石花海。水深は150mから200mの浅場が実に好漁場で人気の釣り場である。冬は槍烏賊で有名だが、もうひとつ鬼笠子でも有名な漁場だ。その石花海に鬼退治にでかけた。

2月末の荒続けた天気の中わずか1日の晴れ間を狙っての釣りだったが、海は荒れに荒れ、強風吹き荒れる中での釣りだった。

潮が良くないのか、艫と右舷はよくかかるが、あいにく自分の陣取った左舷ミヨシはあたりすら来ない。そのような状態の中強い引きがあると、思わず多合わせをしたくなる。しかし、そこはぐっとこらえて追い食いを待つ。一層強い引きがありそっと聞き合わせてみた。確かな感触が手に伝わる。さっそく電動リールのレバーを強めにして、さあ巻き上げだ!と思った瞬間目を疑った。ディスプレイの表示がレバーを回した瞬間に消えてしまうのだ。船の電圧が足りないのだろうか?いやそうではない。そもそもこの釣行は間抜けたことばかりであった。電動リールを装着した竿を2本用意したが1本は鬼笠子用に柔らかめの竿、もう一本は近頃石花海で賑わっている「アラ」狙いの硬い青物竿。しかし肝心なバッテリーとケーブルを忘れてしまった。

忘れ物にうろたえて長靴のままキャビンに入り、床マットのクリーニング代を請求されたりついていないことばかりだった。ようやく反対側のメンバーから予備のケーブルを借りて繋いだものの、どうも接触が悪かったようだ。何度やってもディスプレイの表示が消えてしまう。仕方ないから175mの深さから手動で巻き上げた。巻き上げた先に付いていたのは30cm前後のユメカサゴが2尾。実に重い。

親切な仲乗りのお兄さんが、これ使えるかな?といって持ってきてくれたケーブルはちゃんと表示されて一安心。もう失敗したくないから竿も硬めの竿、実はこの竿にしたくはなかったのだが、リールが新品を装着していて道糸も新品だったからだ。

竿を変えて一投目。なにやら匂わせぶりなあたりのあと強い引きが来た。これは鬼だ!逸る気持ちを抑えて聞きアワセをしてみるとずっしりとした手応えが伝わってきた。今度は追い食いを待たず丁寧に取り込んでみた。上がってきたのは40cmの鬼笠子。これはいい!と、次々投ずるがあとが続かない。挙げ句に巨大な地球を釣り、仕掛けを切って試合終了となった。

忙しかった仕事の繁忙期が終わり、自分にご褒美と思えば良い小旅行だった。帰りには熱海にある姉所有の小部屋に立ち寄り温泉に使ってゆっくり帰った。こういう釣行もたまにはいいものだとしみじみ思った。

帰宅後翌朝鬼笠子とユメカサゴの胃袋、肝を軽く茹でで、ポン酢で食べた。鬼退治の始まりだ。下手な私にかかってくれたお礼に、もみじおろしも手作りで作り渾身の一皿にした。

一晩寝かせてユメカサゴと鬼笠子は握り寿司に。醤油は手作りの下総醤油。

鬼笠子とユメカサゴの握り

もうじきやってくる春に胸膨らませながら美味しく頂いたのは言うまでもない。とはいえ、悔しい貧果に今度は外房勝浦の横綱鯖と鬼笠子釣りを予約したのであった。

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