2月末に誘っていただき静岡県土肥港からとび島丸に乗って「オニカサゴ釣り」。
うねり大きく、私が座った左舷(取舵)みよしは最悪の釣座だった模様。艫に近づくにつれ釣果も上がっていたので悔しいが、じゃんけんで負けたのだから仕方がない。
さて、釣った貴重な1匹のお話は別でするとして、ここでは鰭酒のお話をしたい。
河豚の鰭酒や岩魚の骨酒など、うまい漬酒は数多くあるけれど、根魚の鰭酒はまた一味違ってうまい。とにかく出汁の強さが身上だ。少し強めに炙って熱めの燗酒に漬けてすする。
鰭は、根本から切って酒瓶などに扇を広げるように貼り付けて2・3日干すとキレイなものが出来上がる。河豚や鬼でなくても、購入したキンキや混じりで釣れるユメカサゴなど何でもよい。鬼の鰭が美しく咲くので、味よりも美しさで鬼に軍配が上がる。燗酒に着けると香ばしい香りとうまそうな色が広がり、まるで曼珠沙華が浮いているようだ。
たまには野趣を楽しみたく、固形燃料の卓上コンロで炙り、酒もシェラカップに注いで煮詰めてみた。当然アルコールはだいぶ飛んでしまうから、そんなに酒としての旨味はなくなるが、料理と考えて飲む。いや実に深い味だ。鼻に抜ける炙った骨の香り、熱燗が醸し出すほろ酔いの世界。これに少しの肴があれば、夜長を十分に楽しめる。
酒は安い方醸造が向いている。吟醸系ではもったいない。昔で言うところの二級酒か、普通の日本酒がいちばん。かんたんたんにできるから一度試してほしい。
また鬼退治に行こうと思う。
頭で鬼退治の計画を練りながら鰭酒ちびちび、こうやって初老の夜長はほのぼのと過ぎていくのでした。


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